職業『医者』のあるある話
私は、地方都市のとある私立の医学部の心臓血管外科でレジデントとして、日々忙しく過ごしています。
心臓血管外科という事で、医局の先生方は九割が男性ですが、先生方は何気なく気を遣って、女性の私たちが仕事や研究をしやすいようにして下さっています。
職場に恵まれているなぁと思い、レジデントの同期に思わず『ねぇ、私達って医局に恵まれたよね!』と声をかけたある日の事をお話ししたいと思います。
医者と看護婦の不倫関係
同期は、呆れたように私に言ったのです。
『あなたは相変わらずの鈍さだねぇ！頭の中には職場不倫なんていう語彙はないんだろうね！』と…
『えっ!?何のこと?職場不倫ってどういうこと?誰かと誰かがそういう事になってんの?私の知ってる人?』
と焦って矢継ぎ早に質問攻めにする私に、彼女は苦笑して彼女が目撃した驚きの光景を臨場感たっぷりに話してくれたのでした。
話の主人公は、私達の統率者、医局長（もちろん妻子持ち）と病棟の看護師さんです。
ははーん、これは実話だなと登場人物を聞いただけで思いました。
看護師さんにもタイプがあって、病棟の方達は優しい人が多く、手術部の方達は肉食系というかコワいタイプが多いのです。
彼女は、夜遅くまで学会発表用のポスターの手直しをしていて、さあ帰ろうと病棟の廊下を歩いていたとき、夜勤の先生が泊まる部屋に医局長が入っていくのを見ました。
ああそうか、今日は先生が当直なんだなと思ったそうです。
しかし、次の瞬間、病棟でも患者さんの人気ナンバーワンの美人の看護師さんがすすっと小走りでやって来ました。
辺りをさっと見回したかと思ったら、医局長の後について部屋に入っていったというんです。
医者の妻を軽く見ないこと
『えーっ！ほんとに!?でもさ、それだけじゃ、まだ二人がそういう関係だとは言えないんじゃないの?ずっと見張ってた訳じゃないんでしょ?』と言ったら、
『もちろん、そんなストーカーみたいな事しないわよ。でもね、先週の納会に、医局長の奥様が手作りのローストチキンを差し入れに持って来て頂いたの、見たでしょ?あれって毎年恒例なのかと思ったら、違うんだって。今回初めていらして、しかも、病棟の看護師さん達の休憩室にも差し入れ持って行ったのよ。そこでね、相手の看護師さんだけを呼びつけて、主人がいつもお世話になっております！って声かけたんだって。こわー！』
と・・・
つまり、職場不倫に気づいた奥様が、相手の看護師さんをけん制するために乗り込んで来たのです。
ああ、そんな事に気づかず、呑気にローストチキンを頬張っていた私なのでした。
職業『医者』というだけで、モテるのは確かです。どうか、皆さんもお気をつけください。