女性が元気になり、男性が意気消沈する熟年離婚
三組に一組が離婚する時代となった今、これまで離婚につきまとっていたネガティブなイメージよりも、
プラスの方向にとらえる人たちも増えてきました。
配偶者の暴力や浮気に耐えられず、やむを得ず離婚を決断する人もいますが、近年はそれだけではありません。
そのような結婚生活における大きな障害がなかったとしても、
「たった一度の人生、後悔はしたくない」「今よりもさらに幸せな暮らしがしたい」といった思いで離婚を決断する夫婦が増えているのです。
こういったパターンの離婚は、特に熟年夫婦に多くみられる傾向にあるようです。
昔は、妙齢になると親や周囲の世話焼きな人たちが仲人を申し出て、縁談の話をまとめるのが一般的でした。
若い男女は、親の決めた相手と結婚し、少々辛いことがあっても一生添い遂げるのが夫婦だと教えられて辛抱するのが普通だった時代があったのです。
そのような世の中を経て、昨今、離婚が増えてきたのは、自由恋愛からの結婚が増えて、周囲のしがらみや圧力を感じることなく
自由に結婚・離婚が出来る世の中になったからなのです。
ただ、そうは言っても、夫を嫌いになったからすぐに離婚というわけにもいかないのが現状です。
子供の存在や、女性の経済力の弱さが理由として挙げられる
「夫とは離婚したいけれども、女手ひとつで子供を食べさせ、育て上げるのは不安だ」とか、
「夫婦の都合だけで離婚してしまうのは、子供が可哀そうでならない」などといった事情が離婚を躊躇する要因となり、
「せめて子供が自立するまで我慢しよう」といった方向に流れてゆくのです。
また、「稼がない夫には用はない」とか「これまではどうにか我慢出来たけれど、夫が定年退職して毎日家にいるとイライラしたり息が詰まったりする」などといったような理由で熟年離婚を迎える夫婦もあります。
妻から出した「別れたい」という言葉
大抵の場合は、妻の側から夫に離婚を切り出すパターンで、夫は離婚を切り出されるまでは妻が長年の間、熟年離婚を考えていたことなど全く気付かないことが多いようです。
熟年離婚で元気になるのは、将来的な夫の介護から解放された妻のほうであり、定年退職をして「これからは夫婦水入らずの毎日だ」と思い込んでいた夫には晴天の霹靂となってしまうわけです。
こうして考えてみると、昔も今もお金や子供といった物理的なもので結婚生活が維持されていることに変わりはありません。
一つ加えるとすれば、かつでは弱い立場にあった女性側に老後の生活を左右する指導権が委ねられるような形に変化しているのではないでしょうか。
夫としてこういった状況を回避したい場合は、定年後に初めて夫婦のあり方を考えるのでは遅すぎます。
厳しいようですが、家庭内の問題に「俺は外で仕事しているんだ」と無関心を通してしまえば、「仕事をしなくなった夫には、私(妻)はもう用事はないのよ」と、妻に言わせてしまうきっかけになりかねません。
昔は、夫から妻に三下り半が突き付けられるような時代もありましたが、現代の熟年離婚では立場が逆転し、女性のほうが強くなっているのかもしれません。